2022年7月21日放送の『プレバト才能ランキング』は俳句のタイトル戦でした。
第6回「夏の炎帝戦」決戦です。
昨年の「夏の炎帝戦 2021」から炎帝戦のルールが変更になりました。
「才能アリ」獲得経験者全員がエントリーできるとルールです。
今年は231人の「才能アリ」経験者から58人がエントリーしての戦いでした。
昨年のこの新ルールでの炎帝戦を制したのは、当時特待生ではなかった犬山紙子です。
これはめちゃくちゃ感動の句でしたし、その後の犬山さんがとても面白いトリッキーな存在として、プレバト俳句の期待の星となっております。
今年も犬山さんのようなスターが誕生するでしょうか。
そんな気持ちで視聴をしました。
ちなみに東さんによりますと、梅沢さんのタイトル戦の平均順位は4.5位だそうです。
4位か5位あたりということですね。
俳句「炎帝戦 2022」ランキング
◆俳句のお題:メール
◆「炎帝戦 2022」参加者
- 永世名人 梅沢富美男
- 永世名人 東国原英夫
- 永世名人 村上健志(フルーツポンチ)
- 名人10段 藤本敏史(FUJIWARA)
- 名人10段 横尾渉(Kis-My-Ft2)
- 名人10段 千原ジュニア
- 名人6段 千賀健永(Kis-My-Ft2)
- 名人6段 中田喜子
- 名人2段 ミッツマングローブ
- 名人初段 森口瑤子
- 特待生5級 犬山紙子
- 段位なし 安藤和津
- 段位なし かたせ梨乃
- 段位なし 勝村政信
- 段位なし 久代萌美
◆俳句の先生 夏井いつき先生
11位~15位のランキング
15位「村上健志(フルーツポンチ)」(永世名人)
風鈴鳴る
千の躊躇を
弔って
◆夏井先生の寸評
持っている詩の純度は決して悪くない。
ただ「千の躊躇を」に対して「弔っている」という比喩が来ている。
これによって季語「風鈴」が弱くなった。
そこがもったいなかった。
もうちょっとテーマ性に寄せてくれたらよかった。
これは七七で短歌に仕上げると、すごくいい作品になると思う。
14位「ミッツマングローブ」(名人2段)
真夏来て
サブスクの
trf
◆夏井先生の寸評
季語「真夏来て」は主役に立っている。
カタカナやアルファベットも浮いていない。
一句として直さないといけないということはないが、作品としての奥行きがどうかとなった時に、ちょっと奥行きが薄かった。
13位「千原ジュニア」(名人10段)
故人との
弾みしメール
夜の秋
◆夏井先生の寸評
これは凡ミスかもしれない。
俳句では故人と書かないで、亡くなっている人のメールを思わせる。
季語「夜の秋」はとてもいい季語を選んだ。
12位「横尾渉(Kis-My-Ft2)」(名人10段)
晩涼のRe:Re:Re:
セットリストの
見せ場
◆夏井先生の寸評
これすごく挑戦している。
何がもったいないか、季語「晩涼」がもったいない。
だいぶ涼しくなってきた時間経過を表す季語を置くのではなく、セットリストの中身を想像させてくれるようなそういう季語を思い切って取り合わせると一気に順位が上がる。
それだけの潜在能力を持っている句。
11位「かたせ梨乃」(段位なし)
夕涼の竹富
未読メール百
◆夏井先生の寸評
竹富の地名がよく効いていた。
休暇の間にメールが溜まるという類想の句はあるが、「夕涼」と「竹富」でリアリティが出た。
本当に惜しかった11位。
最下位10位「勝村政信」(段位なし)
夏の雲
逝くな逝くなと
文字叩く
(友達の奥さんの葬儀だった。すごい晴れてて夏の雲が出ていて。広い葬儀場でたくさん人が来ていて、みんな携帯を叩いていた。あの雲の方に向かうんだけど、もしかしたらメールだったら気持ちが届くのかもしれないな、という句)
◆夏井先生の添削後
夏雲や
逝くな逝くなと
文字叩く
◆夏井先生の添削
コイツだったのかと憮然としている。
10位と11位は本当に迷った。
替えときゃよかったな。
季語「夏の雲」、入道雲・雲の峰と人の生き死にを取り合わせるという発想の句がないわけではない。
これは妙な切迫感がある。
「文字叩く」は技術的には上手いわけではない。
むしろ稚拙さがあるが、そこにリアリティがある。
そこがこの句の一番の魅力、作品としての力だと思う。
「夏の雲」だと落ち着いているので、「夏雲や」と詠嘆した方がいい。
こうすれば順位は上だったかもしれない。
でもいずれにしても、コイツだったかという思いです。
炎帝戦入ったら破門は解くと言ったので破門は解くが、信用はしていない。
9位「梅沢富美男」(永世名人)
月見草
文箱の底に
出さぬ文
(女心を切々と出しているのは好きじゃない。月見草、夜咲いて朝方にはしぼんでしまう。お手紙に発想を飛ばした。なかなか出しきれない手紙がある。文箱に置いておいたら、底の方に残っていた、という句)
◆夏井先生の添削後
添削なし
◆夏井先生の添削
褒めるところは、「月見草」によってどういう「文」かを想像させる。
夜のひそやかな感じ。
朝になったらしぼんでしまう。
内容も恋心のようなものを書いた。
迷って出さないままでいる。
そういうところは似合っている。
ただ出さない手紙が残っているという発想の句は、俳句の世界では結構ある。
これを上位に押すのは押しにくいタイプの句。
直す必要はなんだけど、普通。
8位「久代萌美」(段位なし)
社食から花火
原稿
音読す
(花火大会を見に行く予定があったが、急遽メールでシフトが送られて来て、深夜のニュース番組対応になってしまった。社員食堂で原稿の下読みをしながら、東京湾の花火が上がっている切ない状況、という句)
◆夏井先生の添削後
原稿を下読み
社食から
花火
◆夏井先生の添削
ここにはメール・携帯などの言葉は一言も入っていない。
社食なので、花火大会には行けず、自分は仕事をしている。
花火大会に行っている友達から写真が送られてきたかもと想像もできる。
素材は良いんだけど順位を落としてしまっている。
語順が逆。
あなたの手元の原稿から始まって、最後花火を残す。
音読だと小学生の国語の本読みと思う人がいるので、「下読み」が良い。
お顔見てビックリしました。
7位「千賀健永(Kis-My-Ft2)」(名人6段)
緋ダリアや
「メール不達」の
メール来る
(ダリアの緋色。昔お付き合いしていた女性にメールしてみようと送ってみると、メール送れませんでしたというメールが帰ってきた。その寂しさ、という句)
◆夏井先生の添削後
ダリアは緋
「メール不達」の
メール来る
◆夏井先生の添削
この句が千賀さんなんだと、東さんもおっしゃっていたが、取り合わせた季語「ダリア」がいい。
ダリアは好き嫌いがものすごく分かれる。
赤に情熱的な想いや派手やかさを感じて、好きという人もいれば、不穏な感じがすると真っ二つに分かれる。
それが「「メール不達」のメール来る」とそこはかとなく響き合っている。
そこが良かった。
もったいないのは、「緋ダリアや」の詠嘆。
色の印象を後に持ってきた方がいい。
6位「安藤和津」(段位なし)
白雨受く
ネットショップの
段ボール
(物をネットで買うことが当たり前。どこの家の前の玄関にもいろんな段ボールが積み上げてある。突然の雨が降ってきた時、その段ボールが切なく悲し気に濡れそぼっている姿を見て、この後雨を含んだ段ボールを処理する人も大変だな、という句)
◆夏井先生の添削後
添削なし
◆夏井先生の添削
「ネットショップの段ボール」は今時の句なので類想のような句がないとは言わない。
褒めないといけないのは上五が上手い。
季語「白雨」の白があまり負の印象を受けない。
「受く」も良い。
軽く受け止めるような動詞が、コロナ禍の今時の置き配という新しい文化を生み出した。
大したものだなと思う。
5位「藤本敏史(FUJIWARA)」(名人10段)
アルパカを
返す手配り
雲の峰
(動物番組でタレントがアルパカと生活し、ロケが終わって動物プロダクションに返す手配をしてる、という句)
◆夏井先生の添削後
添削なし
◆夏井先生の添削
アルパカと雲の峰を取り合わせた句は、いろんな俳句大会で時折目にはする。
ただ「返す手配り」にオリジナリティーがある。
アルパカを返す手配りとはなんだろうと読み手はいろいろ想像し始める。
映画・テレビの現場で返す。
その背後に夏の入道雲・雲の峰がもくもくとある。
「手配り」でメールや携帯で連絡をしているに違いない。
作者がフジモンさんで納得。
4位「東国原英夫」(永世名人)
羽蟻わく今宵
ロマンス詐欺メール
(羽蟻はシロアリみたいに家を浸食する。メールにはいかがわしいメール、デートメールや出会い系メールとか湧いている。寂しい感情に恋愛感情の隙間に入ってくるような詐欺メール、という句)
◆夏井先生の添削後
添削なし
◆夏井先生の添削
大袈裟で少々やりすぎ感もあるが、この内容なのでここまでやらないとバランス取れない。
こういうのは思い切ってやるしかない。
「わく」という動詞は、まさに今宵人の知らない間に、密やかに家の中を食い始める羽蟻。
まさに今宵、人の心を知らぬ間に食い尽くすように忍び寄ってくる。
「わく今宵」でちゃんと押さえている。
これはこれで上手いし、面白かった。
3位「森口瑤子」(名人初段)
メールぴこんぴこん
シャワー中だってば
(メール・LINEはすごく便利になった部分と、自由を奪われている部分がすごくある。シャワー中で絶対出れないのに、メールがぴこんぴこん何回もなって「もう」となっている、という句)
◆夏井先生の添削後
添削なし
◆夏井先生の添削
こういうやりかたもあるかと思った。
「ぴこんぴこん」が上手い。
オノマトペにリアリティ・実感があり、この音がみんなの耳に聞こえてくる。
最後の「だってば」がいい。
この甘えた大人かわいい感じ。
こんなの書ける人、羨ましい。
あなたの句でよかった。
これおっちゃん(梅沢)だったらすごい嫌だな。
2位「犬山紙子」(特待生5級)
恋を終わらせ
平日の
海月見る
(別れようかとずっと悩んでいた人にメールで別れましょうと送ったが、気持ちはまだフワフワしていて、平日の会社がある日に送っている。会社も休んで水族館に行って、クラゲを見て癒される、という句)
◆夏井先生の添削後
添削なし
◆夏井先生の添削
犬山さんだったんですね。
素晴らしいです。
そこにもメールや携帯と書いていないが、メールを送った後に相手は未読のまま。
その宙ぶらりんの時間かもしれないと思う。
仕事休んで、傷心のままの有給休暇かもと思う。
海月というのもいい。
揺れ動く失恋の心。
それを冷ややかな薄暗い空間ではないか。
それが心を癒してくれる。
俳句では「見る」は不要なことが多い。
特待生以上の人はみんな知っているが、これは必要な「見る」。
クラゲを見ている。その向こう側の自分の心を見つめている。
1位「中田喜子」(名人6段)
産声送信
ドバイは
大夕焼
(若夫婦がドバイに転勤して、その先で第一子が誕生。どうしても両親に声を聞かせたくて送信した。産声が出てきた時に、都市はどこだ、ドバイだ。ドバイと大夕焼が産声にちょうどいい、という句)
◆夏井先生の添削後
添削なし
◆夏井先生の添削
一番褒めないといけないのは写真を送信するんじゃなく、産声、生まれた瞬間の声送りたい。
ここが新鮮でリアリティもある。
兼題写真の未読が3通というのがあった。
あそこにもしっかり寄っている。
まず産声を送って、それから写真も送って、そんな押さえ方もあるんだなと思った。
ドバイは説明しなくても、赴任先の出産であり、日本にいるご両親に送るに違いない。
全部ありありと手に取るようにわかる。
季語「大夕焼」もドバイという地名の広がりはもちろん、生まれたという安堵・喜びが示唆されている。
一句の奥行きに気持ちのよい光景が広がっていく。
中田さん、苦労したもんね。よかった!
苦労しただけのことがここに!
嬉しいです!
◆「炎帝戦 2022」順位◆
1位「中田喜子」(名人6段)
2位「犬山紙子」(特待生5級)
3位「森口瑤子」(名人初段)
4位「東国原英夫」(永世名人)
5位「藤本敏史(FUJIWARA)」(名人10段)
6位「安藤和津」(段位なし)
7位「千賀健永(Kis-My-Ft2)」(名人6段)
8位「久代萌美」(段位なし)
9位「梅沢富美男」(永世名人)
最下位10位「勝村政信」(段位なし)
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