2022年9月15日放送の『プレバト才能ランキング』は2時間SPでした。
企画は俳句の「47都道府県ふるさと戦」。
俳句での新企画になります。
今回1位になった句は都道府県の公認ポスターになるというご褒美付きです。
『プレバト』が都道府県とタイアップなんですね。
お題は各都道府県にちなんだものになります。
俳句と都道府県の兼題写真との相乗効果が鍵となります。
今回のようなのは写真俳句というんだそうです。
第1戦 茨城県
◆俳句のお題:「霞ヶ浦の鉄道」
◆茨城県ブロック出場者
- 村上健志(フルーツポンチ):茨城県出身
- 石田たくみ(カミナリ):茨城県出身
- 梅沢富美男:茨城県に思い入れのある人
- 中田喜子:茨城県に思い入れのある人
- 的場浩司:茨城県に思い入れのある人
◆俳句の先生 夏井いつき先生
最下位5位「石田たくみ(カミナリ)」
水澄むや
湖上の列車と
シャッター音
(ここは茨城県でも有名なフォトスポット。湖がすごくきれい。不安なのは五八六になってしまった、という句)
◆夏井先生の添削後
湖を
越ゆる鉄橋
水澄めり
◆夏井先生の添削
これでは「湖上の列車は何?」と思っている人がいると思う。
言いたいことが伝わってない。
(添削後)これであなたが言おうとしたことが作品として実現できる。
だけど、いざあの写真に載せると、写真に入っている状況だけしか書いていない。
1+1ももなっていない。1+0。
写真があればいい。
4位「中田喜子」
星合や
長き鉄橋
ひた走る
(星合は季語で、織姫と彦星が1年に1度合うという意味。写真俳句なんですよね…、という句)
◆夏井先生の添削後
ひた走る
長き鉄橋
星祭
◆夏井先生の添削
俳句としては良い。
七夕の夜に会いたい人に会いに行く。
長い鉄橋をひた走っているワタクシがいる。
ただ写真俳句という別ジャンルの作品となると、「長き鉄橋ひた走る」が写真の情報とダブってしまう。
それが全部だめといういうわけではない。
語順の問題。
写真の中の情報が俳句の中に入っている場合には、小さなコツがある。
先に写真の中にある情報を入れる。
(添削後)季語だけの情報で写真俳句として成立させる。
これも技。
3位「的場浩司」
秋曉や
湖に童話の
一頁
(こういう写真は逆さ富士以外は見たことがない。全然関係ないが不思議の国のアリスが頭に浮かんできた。童話の挿絵みたい、という句)
◆夏井先生の添削後
鏡の国へと
秋曉の一頁
◆夏井先生の添削
「湖に」の「に」が散文的。
この俳句が写真と取り合わせて写真俳句になった時を考える。
ポスターの映像を書くことはもったいない。
より良い取り合わせをどうやって実現するか、ここがポイントになる。
お話ではアリスとあった。
アリスには「鏡の国のアリス」もあるので、この写真ととてもいい感じになる。
とても良い感覚。
2位「梅沢富美男」
車窓より
鹿島祭りの
灯のはるか
(「鹿島祭り」が季語。車窓より鹿島祭りのうっすら灯りが見える。あれが鹿島祭りかもしれないな、という句)
◆夏井先生の添削後
車窓いま
鹿島祭りの
灯のはるか
◆夏井先生の添削
これも良い句。本当に良い句。
列車の中から見える灯りに行く。
「はるか」で遠近感もある。
俳句として出来上がっている。
写真と組み合わせた時も上手い!
ここだけ損をしているというところがある。
「車窓より」の「より」を変えると写真の中に臨場感が生まれる。
茨城の方、予算を半分にしてこれもポスターにして欲しい!
1位「村上健志(フルーツポンチ)」
秋夕焼へ
音失っていく
列車
(列車が遠ざかれば音が小さくなっていく。写真から感じ取れない何かを足したかった。それが音。元々音なんか持ってない列車なんじゃないか、という句)
◆夏井先生の添削後
添削なし
◆夏井先生の添削
「秋夕焼へ」であえて字余りにしている。
方向の「へ」。
音が失っていくのは何か。
最後に「列車」で映像がポンと出てくる。
写真俳句として見たときも、列車の姿を見せながら、その後の静けさも表現できる。
これならば、ポスター飾られても茨城に迷惑をかけない。
素晴らしかったです。
◆順位まとめ◆
1位「村上健志(フルーツポンチ)」
2位「梅沢富美男」
3位「的場浩司」
4位「中田喜子」
最下位5位「石田たくみ(カミナリ)」
第2戦 福岡ブロック
◆俳句のお題:「中洲の屋台」
◆ブロック出場者
- 篠田麻里子:福岡県出身
- 武田鉄矢:福岡県出身
- 立川志らく:福岡県に思い入れのある人
- 千原ジュニア:福岡県に思い入れのある人
- 横尾渉(Kis-My-Ft2):福岡県に思い入れのある人
◆俳句の先生 夏井いつき先生⇒福岡はレベルが高い。団体戦があれば福岡県が優勝。
最下位5位「横尾渉(Kis-My-Ft2)」
豚骨の湯切り
良夜のご報告
(店主が湯切りをしているときに、客の同僚や上司に良い報告をしている、という句)
◆夏井先生の添削後
豚骨のスープ
良夜のご報告
◆夏井先生の添削
作品としてはなかなか面白いところを狙った。
「湯切り」からの「良夜」でちょっとだけ損をした。
「湯切り」が強く残って、季語「良夜」が沈んでしまう。
「豚骨」か「湯切り」のどっちかでいい。
(添削後)動作を出さない方が季語にいける。
こうすれば写真俳句としてはとても面白い。
4位「千原ジュニア」
常連に
席譲られし
秋の夜
(実際にあったこと。席を譲ってくれた。常連ということは歴史もあり、賑わっている。席を譲っていただく県民の優しさ。俳句だけ見たときに写真がわからないのはOKなのかわからなかった、という句)
◆夏井先生の添削後
添削なし
◆夏井先生の添削
これも良い句。
読んだだけでどういう場所かありありとわかる。
「常連に席譲られし」で飲み屋や屋台を思い浮かべる。
「秋の夜」も無理した季語を持って来ないで、静かにまとめているのも良い。
写真俳句となった時に、常連に席を譲られる情景がありありと想像できる。
あの写真とこの句は同じように存在。
1+1で2。
写真俳句の醍醐味は、写真×俳句で掛け算の相乗効果を生み出すこと。
ジュニアさんでしたら、まだまだとんでもないことを思いつくのでは?
3位「武田鉄矢」
大将と
こほろぎさがす
屋台かな
(私が知っている博多の屋台は博多川のほとりにあるポツンとある屋台。そこに座るとコオロギの鳴き声。大将と2人で足元をのぞく。踏みつぶしては可哀想なのでコオロギを探している、という句)
◆夏井先生の添削後
添削なし
◆夏井先生の添削
俳句としてはすごく良い。
ほのぼのとしている。
コオロギの声がする。そして探しているという動きが見えてくる。
写真俳句であの兼題写真では、賑やかな声、ざわめき、雑踏がパッキングされている。
そうなると、季語「こほろぎ」の声が聞き取りにくい。
写真と俳句を合わせることで損をする。
でも良い句。
2位「立川志らく」
冷酒に
心の月を入れて
呑む
(「心の月」が季語。お酒を飲む時はグダグダ飲むけど、月がきれいで心澄みやかに飲みたいな、という句)
◆夏井先生の添削後
添削なし
◆夏井先生の添削
俳句として詠んだ時の良さはある。
私は「冷酒」を季語として読んだ。
この句は独立で十分味わえる。
写真俳句としても、あの屋台の写真にこの句が入っても十分成立する。
順位をつけるとなった時に、損なところもある。
この写真は屋台。
賑やかさやざわめきがあの写真の中にパッキングされている。
そう考えた時に、この句は静けさの中でしみじみと呑む。
雑踏の中で「心の月」となると損。
他の写真と組み合わせると、この句はいきようにもなり、すごいことになる。
面白い句を作ったと感心をしている。
1位「篠田麻里子」
中洲の満月
ホークスの白星
(福岡代表としては福岡で一番屋台が盛り上がる日を句にした。中洲の美しい満月にホークスの白星を飾る。そんな素敵な日がある。観光で来た皆さんに一番盛り上がる日を体感していただきたい、という句)
◆夏井先生の添削後
ホークスは白星
中洲には満月
◆夏井先生の添削
作品だけなら志らくさんに軍配。
写真俳句となった時、掛け算の効果がある。
これはホークスを先に持ってくると、季語が生きる。
◆順位まとめ◆
1位「篠田麻里子」
2位「立川志らく」
3位「武田鉄矢」
4位「千原ジュニア」
最下位5位「横尾渉(Kis-My-Ft2)」
第3戦 大阪府ブロック
◆俳句のお題:「道頓堀」
◆ブロック出場者
- 藤本敏史(FUJIWARA):大阪府出身
- 犬山紙子:大阪府出身
- 松岡充:大阪府出身
- ゆうちゃみ:大阪府出身
- 立川志らく:大阪府に思い入れのある人
- 森口瑤子:大阪府に思い入れのある人
◆俳句の先生 夏井いつき先生
最下位6位「犬山紙子」
お釣り百万円
龍淵に潜む
(「お釣り百万円」の声が聞こえてくる道頓堀の音と水を司る龍がいるのは道頓堀ではないか。この兼題写真の奥に金龍があって守り神として居てくれる、という句)
◆夏井先生の添削後
たけなわの
秋やお釣りは
「百万円!」
◆夏井先生の添削
難しい季語を引っ張り出してきた。
「龍淵に潜む」は時候の季語。
百万円をカギカッコでくくるといい。
ビックリマークをつけてもいい。
問題は「龍淵に潜む」。
あの兼題写真に「龍淵に潜む」では、めっちゃ景気の悪い大阪になる。
これは今回諦めるべき。
写真の賑やかさに寄せてみる。
(添削後)俗な「百万円!」も写真の上で力を持つ。
5位「松岡充」
かすうどん
バッテラなんぼ?
浮寝鳥
(大阪人を詠んだ。浮寝鳥は大阪の川で浮かんでいる。大阪人は辛いこと悲しいことは見せない。かすうどん食べてバッテラでもたべとこか。「なんぼなん?」と聞く大阪人のたくましさ、という句)
◆夏井先生の添削後
浮寝鳥ふえて
バッテラ
かすうどん
◆夏井先生の添削
「かすうどん」「バッテラ」の響きは面白い。
「なんぼ?」と書きたい気持ちはわかる。
ここがうるさくしている。
季語「浮寝鳥」が追いやっている。
(添削後)これやっていたら、写真俳句として評価がグンと上がる。
4位「森口瑤子」
ツッコミは
愛なんだって
啄木鳥
(主人と出会ったばかりの頃、喋っていると「え?オチは?」とかよくダメ出しをされていた。それを関西出身の友人に相談したら、大阪人は愛があるから言う。ケラキツツキはコツコツと突いていく姿がツッコんでいるように見える。音が賑やかな道頓堀に似合う、という句)
◆夏井先生の添削後
ツッコミは
愛か真昼の
おけら鳴く
◆夏井先生の添削
今お話を聞いたら、ツッコミとケラキツツキを重ねた。
オチを狙ったんですね。
これは大阪人のオチに負けた東京の人の句。
「啄木鳥」じゃない方がいい。
あなたの持ち味を殺してまで、オチを求めることはない。
写真との取り合わせで考える。
(添削後)おけらは夜に鳴くが大阪だったら昼も鳴くんじゃない?
微量な皮肉を込めると東京人のプライドが保てた。
3位「立川志らく」
月夜の酔っ払い
嗚呼かに道楽
(澄んだ月夜の晩には楽しく飲みたい。かに道楽の看板見るとホッとする。酔っ払いがカニっぽく歩いている、という句)
◆夏井先生の添削後
かに道楽
見上げ月夜の
酔っ払い
◆夏井先生の添削
「月夜の酔っ払い」と「かに道楽」の取り合わせがいい。
飄々としていて、俳諧味もある。
今回のようにカニ道楽が写真にあって、あえて俳句に「かに道楽」を入れるというやり方もある。
その時には写真にない情報を後に入れる。
2位「藤本敏史(FUJIWARA)」
コイン洗車抜けて
秋気の御堂筋
(大阪の難波に住んでいた。コイン洗車で車ピカピカにして、爽やかな秋の御堂筋を車で走った、という句)
◆夏井先生の添削後
添削なし
◆夏井先生の添削
これも良い句。
軽やかでリアリティーがある。
写真と取り合わせた時も、ごちゃごちゃを抜けて向こうに御堂筋があることを読み手もわかる。
写真俳句として十分成立。
1位「ゆうちゃみ」
街は秋
写ルンですを
巻く五秒
(ギャルの中で写ルンですが大ブーム。それを大阪でエモい風景と合わせて撮った時に超感動した、という句)
◆夏井先生の添削後
添削なし
◆夏井先生の添削
商品名を入れて俗な俳句ではあるが、俳句としても楽しめる。
写真との取り合わせも軽やか。
一緒に光景を眺めているよう。
商品名「写ルンです」が雑多な感じと似合ってる。
これ誰が作ったんだろうと楽しみにしていた。
写真俳句、才能ありそうな気がする。
◆順位まとめ◆
1位「ゆうちゃみ」
2位「藤本敏史(FUJIWARA)」
3位「立川志らく」
4位「森口瑤子」
5位「松岡充」
最下位6位「犬山紙子」
第4戦 福島県ブロック
◆俳句のお題:「磐梯吾妻レークライン」
◆ブロック出場者
- 梅沢富美男:福島県出身
- 犬山紙子:梅沢相手なら自信がある人
- 勝村政信:梅沢相手なら自信がある人
- 千賀健永(Kis-My-Ft2):梅沢相手なら自信がある人
- 中田喜子:梅沢相手なら自信がある人
◆俳句の先生 夏井いつき先生
最下位5位「犬山紙子」
秋色や
窓ガラスから
宇宙から
(天もすごく高い福島の美しい山々。窓ガラスから景色を見ている。気象衛星の宇宙からも紅葉が見える。この景色は秋の高い空のその先の宇宙からも見える、という句)
◆夏井先生の添削後
宇宙から
紅葉見える
といふ話
◆夏井先生の添削
これは何を言いたいのかわからない。
どうやって直すか本人の話を聞くしかない。
あなたの話から宇宙のことを言いたい。
4位「勝村政信」
山粧ひ
一目惚れした
吾も粧ひ
(レークライン行った時に紅葉の時で、紅葉の赤が美しくて景色に一目惚れ。写真を撮る時に、自分たちの頬まで赤くなった。一目惚れで書くなってしまった、という句)
◆夏井先生の添削後
粧へる
磐梯山に
一目惚れ
◆夏井先生の添削
これは内容があまりにも面白くない句。
「一目惚れした」が陳腐。
山の名前くらいは書く。
(添削後)これを写真と取り合わせても本当に面白くない。
写真に対して失礼。
3位「梅沢富美男」
赤べこの
背なに揺られて
山装ふ
(レークライン。福島には赤べこという人形がある。嫌なことも良いことも背負ってくれる。赤べこが揺れるように、後部座席で揺られている。ふと見ると紅葉が見えた、という句)
◆夏井先生の添削後
赤べこの
背なに揺らるる
ごとく秋
◆夏井先生の添削
書きたいことは私には伝わるが、俳句として見た時に「揺られて」の「て」がゆるい。
中七の「て」は要注意。
比喩・擬人化が一緒になってお互いが損をしている。
(添削後)「秋」という季語が大きく包む。
これをしてたら2位にしていた。
2位「中田喜子」
秋燕
レークラインの
影ゆらら
(燕が南下していくときにレークラインには木々の影が落ちている。骨休みをするために燕たちが止まった枝が揺れてその影がゆらら、という句)
◆夏井先生の添削後
湖へ
秋の燕の
影走る
◆夏井先生の添削
写真俳句として考えた時に、秋燕といれたのは良い判断。
レークラインもあの道は湖に続いているだろうと想像させる。
決して悪くない。
これを1位にするにはどうするか。
(添削後)動かない写真の中に、動く燕の映像を入れることができる。
1位「千賀健永(Kis-My-Ft2)」
ラジオからソウル
会津は初紅葉
(ソウルは温かくてハートフルな曲が多い。会津は歴史が深い。魂の曲を聴きながら向かっている、という句)
◆夏井先生の添削後
添削なし
◆夏井先生の添削
これは写真俳句として見た時に、2倍3倍の味わいがある。
写真と合わせて見ると、運転中のカーラジオ。
会津の地名とソウルの取り合わせ問題があるが、会津魂という言葉がある。
利を求めず、義に生きる。
そういう会津魂とソウルという音楽の間に、何らかの関連性がある響き合いがあると作者は信じて取り合わせている。
写真の中の見事な紅葉の光景に、一緒に読み手も入るような。
村上さんの「写真なのに目をつぶりたくなる」…久しぶりの名言だと思う。
◆順位まとめ◆
1位「千賀健永(Kis-My-Ft2)」
2位「中田喜子」
3位「梅沢富美男」
4位「勝村政信」
最下位5位「犬山紙子」
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