2021年9月9日放送の『プレバト才能ランキング』を見ました。
俳句の「金秋戦 2021」でした。
今回は予選のみです。
予選ブロックは前回浜ちゃんが抽選をしてA~Dの4つのグループが決定。
その内のAとBの2つです。
前回の抽選結果
▶『プレバト!!』9月2日「俳句」金秋戦の予選組み合わせ決定!かまいたち山内がまた夏井先生から指摘! - 今日も暇です。
金秋戦に行くメンバーも気になりますけど、今回の俳句が凄かったです。
俳句「金秋戦」の予選ランキング【A&Bブロック】
◆俳句の予選のお題
Aブロック:スポーツの秋
Bブロック:食欲の秋
◆俳句の先生 夏井いつき先生
◆出場者
【予選Aブロック】
- 名人10段 中田喜子
- 名人初段 森口瑤子
- 特待生1級 岩永徹也
- 特待生2級 パックン
- 特待生5級 春風亭昇吉
【予選Bブロック】
- 名人10段 藤本敏史(FUJIWARA)
- 名人4段 立川志らく
- 名人初段 三遊亭円楽
- 特待生3級 筒井真理子
- 特待生5級 向井慧(パンサー)
◆にゃん吉のAブロックとBブロックの予想
- Aブロック⇒1位森口さん、2位中田さん。
- Bブロック⇒1位志らくさん、2位フジモンさん
どちらも1位と2位の逆もあり得ると思っての視聴でした
俳句「金秋戦」の予選Aランキング
最下位5位「パックン」(特待生2級)
天高し
アーチ描く
ホットドッグ
(アーチを描くと言えば球場でホームランと思わせるが、空を飛ぶのはホットドッグ。アメリカでは球場の売り子に「ホットドッグ」と言えば飛ばしてくる。アメリカの球場のホットドッグの味、香り、音がたった17音で表現している素晴らしい句)←「最下位や言うてる」と浜ちゃん。
◆夏井先生の添削後
天高し
売り子の放る
ホットドッグ
◆夏井先生の添削
いろいろたくらみすぎて勝負を落としたというタイプの句。
「アーチ描く」でホームランと思わせると企んだ。
そして「ホットドッグ」で落としたい。
これでは売り子の姿、観客の姿を思い描けとと言うと、ちょっと読み手に負担がかかり過ぎる。
この現句のままでどうしても押し通したいのであれば、前書きで「ヤンキースタジアム」という奥の手もある。
でも俳句は基本的には17音で勝負。
野球場とわかるヒントが欲しい。
読み手に少し分かりやすく考えてあげる。
パックンに注文は、5音の季語+12音のフレーズはできるようになったので、いろんな型を練習してください。
そうしないと1級はなかなか難しい。
俳句はいろんな公式があるので、その公式を1つ1つマスターするつもりで練習してみてください。
期待しております!
4位「春風亭昇吉」(特待生5級)
負けても勝っても
母秋刀魚焼く
(お母さんが台所で秋刀魚を焼く後ろ姿。息子が思春期で部活の試合のあと、好物の秋刀魚を焼いている、という句)
◆夏井先生の添削後
試合如何に
子の好物の
秋刀魚焼く
◆夏井先生の添削
俳句でいろんな読みが出てくるのは悪いわけではない。
ただこれはあまりにも絞りにくい。
お母さんが人生をかけた勝負の時期に賭けていて、勝っても負けても秋刀魚を焼く、とも読める。
これはちょっと読者に任せすぎ。
もうちょっと自分が何を表現したいのかを書く必要がある。
試合の結果はどうだろうというのを入れる。
「勝敗如何に」でも良い。
(添削後)こうすれば今あなたが語った光景に寄る。
俳句はかなり寄せて、自分の思いを手渡すぐらいの覚悟でやって欲しい。
3位「岩永徹也」(特待生1級)
軸足の
ギプスの寄せ書き
山粧(よそほ)ふ
(実体験に基づいた句。サッカー部だった。友達が軸足をケガし、白いギプスをした。それをメンバーで寄せ書きを書いた。季語「山粧ふ」が紅葉なのでカラフルなのでこの状況と重ねた、という句)
◆夏井先生の添削後
軸足の
ギプスに金秋の
寄せ書き
◆夏井先生の添削
「軸足」の判断は良い。
サッカーだと想像しやすい。
そこから「ギプス」でケガをしたとわかる。色の白とわかる。
もったいないのは季語「山粧ふ」の選択。
「軸足」から「寄せ書き」までの間で映像が細かくなるが、ここでいきなり山の光景になる。
ここがものすごく損をしている。
同じように秋の華やかな印象の季語がある。今私たちが戦っている「金秋」。
最後は寄せ書きのアップで終わるのが良い。
2位「森口瑤子」(名人初段)
座り込む
アンカーの目に
秋夕焼
(子どもの運動会に行ってリレーの選手のアンカーがすごく強い子だったが負けた。頑張りむなしく負けてしまって、終わったら座り込んでいてずっと立たなかった。夕闇がせまってきてずっと夕焼け見ながら、何を考えているのだろうと思った時の句)
◆夏井先生の添削後
座り込む
アンカー
秋夕焼くずる
くずおれる
アンカー
秋夕焼赫し
◆夏井先生の添削
森口さんのいいところは「アンカー」だけで種目が分かること。
「座り込む」という動きも自然。
季語「秋夕焼」が無理なく言葉が紡げている。
ただ「座り込む」というのが負けて悔しくてなのか、全力を尽くして立ち上がれないくらいになって勝っているのか。
さらに東さんが言った走る前なのか。
それが微妙に分かりづらい。
負けていることを示唆するといい。
なくてもいいのは、「の目に」。想像できる範囲。
たとえば「秋夕焼」の表情を入れる。
「くずる」を入れると、負けた感じが出る。
(添削後)ここまでやってたら1位だった。
1位「中田喜子」(名人5段)
しぶき上げ
復活の秋
ひとりじめ
(水泳の選手が体を痛めてしまって大会に久しく出ていなかった。やっと克服して大会に出られて表彰台に乗れた、という句)
◆夏井先生の添削後
添削なし
◆夏井先生の添削
これは良い句だった。
「しぶき上げ」で水の映像が出てくる。動きも出ている。
「復活」というのは抽象的な言葉で使いこなすのが難しい。
「しぶき上げ 復活の秋」で水泳選手かなと思う。
なんかの困難、壁を乗り越え再び記録を伸ばしたのかなと一気に読める。
そうなると最後の着地が難しい。
それを「ひとりじめ」と思い切って言い放った!
ちゃんと考えて挑戦していて、全体のバランスも考えている。
17音で表現するのは難しい。
それをあえてやったのは一種の力技。
毎回成功するとは思わない方が良い。
金秋戦【Aブロック】予選ランキング
◆「2021 金秋戦」【Aブロック】予選順位◆
1位「中田喜子」(名人5段)
2位「森口瑤子」(名人初段)←補欠
3位「岩永徹也」(特待生1級)
4位「春風亭昇吉」(特待生5級)
最下位5位「パックン」(特待生2級)
※赤字が予選通過
俳句「金秋戦」の予選Bランキング
最下位5位「向井慧(パンサー)」(特待生5級)
秋刀魚の目
勧める母の
目に力
(子どもの頃、秋刀魚を焼いてもらって食べた時に秋刀魚、魚の目を食べると頭良くなると言われて、食べろと言われていたがあまり好きじゃない。魚の目と母親の強い目の対比、という句)
◆夏井先生の添削後
秋刀魚の目
勧める母の
目の静か
◆夏井先生の添削
お気持ちはわかる。
「秋刀魚の目」という俳句はたくさん出てくる。
どうしても凡人の発想。
秋刀魚の目と母の目、2つの目を出すくらいではオリジナリティーがない。
「目に力」では凡人なので、ここに微量のオリジナリティーを入れることは可能。
「目の静か」だと、「お食べなさい」と静かに訴えかけている。
上品だけど怖い。ここが微量なオリジナリティーが入ってくる。
4位「筒井真理子」(特待生3級)
中心に
記憶の螺旋
黒葡萄
(出身が山梨。子どもの頃、庭にブドウの棚があった。葡萄の種は中心にある。その種のように記憶の螺旋、DNAの芯みたいなものが自分の中にもきっとある、という句)
◆夏井先生の添削後
黒葡萄に種
吾に記憶の螺旋
(俳句は一行なので種の後に空白を入れる)
黒葡萄に種 吾に記憶の螺旋
◆夏井先生の添削
こういう句を作りたいというお気持ちがあって、それをまっすぐにやるというのは良いこと。
その上でたった17音で何ができるか。
そこが勝負どころ。
これは一句の3分の2が抽象的な語りになっている。
そうなると季語「黒葡萄」が付け足しになってしまう。
ここを少しでも具体的にする。
そうするとこういう抽象的な俳句も作品になる。
「黒葡萄に種」にすると映像ができる。この後に一文字空白を入れる。
(添削後)こうするとあなたの作品も立ってくる。
でも挑戦していきましょう。
3位「三遊亭円楽」(名人初段)
病院の
脂の抜けた
蒸し秋刀魚
(秋刀魚は脂がのっていて焼くからうまい。蒸しちゃったからぱさぱさ。食欲ない上にこんなの食う気ねぇよという自分の自然体を詠んだ句)
◆夏井先生の添削後
病院や
脂の抜けた
蒸し秋刀魚
◆夏井先生の添削
定石は食べ物の季語は美味しそうに。
これは病院。入院中の秋刀魚を想像させて、美味しい秋刀魚を想像させるという企みが裏にあるのではないか。
「病院や」と詠嘆する。
こうすれば、病院じゃなければあの秋刀魚が食えるのに、と読める。
たった1音だが大事な押さえ。
2位「立川志らく」(名人4段)
≪首つりの家≫には
林檎は
無いのか
(首をつるような因縁のある土地では華やかな林檎は無いだろうと読んでもいい。≪≫をつけたのはセザンヌの作品で「首吊りの家」がある。初めてセザンヌの展覧会に行った時、りんごの絵が有名なのでそういうのばかりだと思っていた。代表作のところに「首吊りの家」。タイトルもインパクトがあり、林檎がないと気づいた。その素直に思った記憶を詠んだ句)
◆夏井先生の添削後
添削なし
◆夏井先生の添削
まるで一行詩のような作品。
セザンヌの「首吊りの家」を知っている人は作者の思い通りの読み。
こういう句の大事なポイントは、セザンヌを思わなかった人がどういう読みを紡ぐか。
そこが評価の大きな分かれ目になる。
首吊りのあった家に対する誹謗、中傷、同情の目。
その家には幸せの象徴のような赤い林檎は無いのか。
この林檎は季語とうよりは、幸せな家庭の象徴としての比喩。
セザンヌを知っていても知らなくても、同じ読みに寄ってくる。
作品としては成功している。
作者が志らくさんとわかって、≪≫も意図したものをすぐにわかった。
1位「藤本敏史(FUJIWARA)」(名人10段)
魚群探知機
朝寒の
がなり声
(秋の寒い朝の漁。魚群探知機を見ながら他の船にがなり声で指示を出す船長さんを詠んだ句)
◆夏井先生の添削後
◆夏井先生の添削
食欲の秋から漁業に発想を広げる。
このへんはさすが。
「魚群探知機」で7音。
上五に長い言葉は決断が必要。
この句も「朝寒の 魚群探知機 がなり声」とすれば五七五には入る。
だが「魚群探知機」という映像を先に見せる。
「朝寒」という映像を持たない時候の季語を持ってくる。
時間、空間、冷たい朝というのが読者の肌身に伝わる。
「がなり声」も立体的に響く。表情もついている。
今回のこれは良き判断だった。
金秋戦【Bブロック】予選ランキング
◆「2021 金秋戦」【Bブロック】予選順位◆
1位「藤本敏史(FUJIWARA)」(名人10段)
2位「立川志らく」(名人4段)←補欠
3位「三遊亭円楽」(名人初段)
4位「筒井真理子」(特待生3級)
最下位5位「向井慧(パンサー)」(特待生5級)
※赤字が予選通過
◆◇◆ ◆◇◆
すごくAブロックもBブロックも全く波乱なしでした。
逆に珍しいくらい。
番組でも「波乱がないのが波乱だった」とのナレーションがありました(笑)。
結果はそうでしたけど、俳句の中身は熱いものがありましたね。
あとは、志らくさんのあの強烈な俳句が印象にあるので、あれを超えてくる句が2位にあるのかどうかが次回の焦点です。
Cブロックは波乱があるとの予告。
最終的に金秋戦で戦うメンバーは誰なのか、金秋戦を制するのは誰なのかが気になります。
▽前回までのタイトル戦もどうぞ▽
①『プレバト!!』7月22日 第5回「夏の炎帝戦」特待生ではない犬山紙子が出場で大大波乱! - 今日も暇です。
②『プレバト!!』11月12日 第4回「金秋戦」決勝 千原ジュニアが初の快挙!敗者復活からの初優勝 - 今日も暇です。