『相棒18』第19話「突破口」の感想です。
今期たった1回限りの太田愛さんの脚本回です。
太田さんのお話は社会派でありながら、必ず心の琴線に触れてくれるお話が多いですし、前作の『相棒17』では月本幸子さんの最後の回を担当。
あれからちょうど1年後の登板です!
そしてやはり裏切りませんでした!
監督は片山修さん、脚本は太田愛さんでした。
▽目次です▽
山野を演じた中本賢さんが素晴らしい
相棒は本当に役者選びが上手いというか、すごくストーリーに合った俳優や女優を起用しますけど、今回も裏切りませんでした。
人が良さそうで純朴で、善人そのものの山野さん。
そんな山野さんが1番心を許していたのが年下の殺された足立さん。
その2人の関係が肝になるわけですけど、地味な感じが否めない山野さんを中本賢さんが抜群の演技力で演じていたので、ぐいぐい引き込まれました。
途中こういう善人が犯人だったら嫌だなぁというのが頭によぎるくらいいい人でした。
CM明けからラストの怒涛の展開が秀逸だった
これが1時間で収まったのが奇跡のような内容の濃さでした。
事件は殺人ではなく、自殺だったこと。
それを殺人に偽装したこと。
山野は巨大な悪に一矢報いたいと思ったこと。
自分を犯人として逮捕して欲しいと願うこと。
裁判に持ち込みたいと必死で訴えること。
これがラストの10分くらいで描かれているのです。
まさかここまで盛り込んでくるとも思いませんでしたが、ストーリーをなぞっているわけではなく、山野にちゃんと感情移入できる展開だったこと。
太田さんの力技を見た気がしました。
右京さんがまさかの手助け?
曲がったことを絶対にしない右京さん。
それが右京さんが正義の味方である所以なのですけど、山野が無念で泣き叫ぶところではやるせなさと切なさが頂点に達します。
ああ…相棒の切なくて辛いエンディングの回なのかな、と思ったその時。
右京さんが山野に体を近づけて「鬼になっても…あなたはそうおっしゃいましたね?」と問いかけます。
その後冠城さんが「誤認逮捕をするのか」と右京さんを責めます。
嘘でしょ?
あの正義の味方で、どんなことがあっても情にほだされない正義の味方の右京さんが、そんなことするの?
残り10分くらいの展開にただただ驚きました。
よく考えたら右京さんがそんなことするわけがないのは当たり前なんですけど、その一瞬は「ええ?」と驚きました。
そして、連城弁護士が登場。
予告でもありましたけど、ここで登場とはビックリです。
しかも右京さんから頼まれての弁護をすることになった連城弁護士。
右京さんが連城さんの頭脳と手腕を買っている証拠ですよね。
冠城さん同様に右京さんの術中にハマった(笑)
連城さんの場面で出演者のテロップが出ます。
あれ、もしかして今回は1話完結ではなく、最終回との前後編だったの?
…と錯覚を起こしますが、急にほんわかした特命係の日常が出て来ます。
ここですべての種明かしがされます。
山野さんの希望どおりに裁判が行われ、ゼネコンの幹部の悪行が明るみに出て逮捕。
あとは松木代議士を捕まえられるのか、というところでエンド。
山野さんの無念と思いが報われて、とてもいい終わり方でした。
冠城さんが自分は最初から右京さんの考えに気づいていたとうそぶいてましたけど、その軽妙なやり取りが相棒らしくて思わずニヤリ。
暇課長とのトリオのラストはほっこりしました。
今回の相棒
冒頭から権力者が出てきて、そして人が殺されるという構図。
巨大な悪に立ち向かうような話ではあるのですが、そこを焦点にするのではなく、殺された足立さんの友人である山野からの視点で事件を解決していくところが非常に良かったです。
ずっと山野さんの人柄を画面を通してみている分、感情移入もしやすかったです。
殺人ではなかった点、殺人現場に仕立て上げていく理由なども自然と受け入れられました。
冒頭の上級国民級の方々へのムカつく度もしっかり描いているからこそ、巨大な悪というわかりやすい構図になっていたのもよかったです。
警察も及び腰になっているところも派手な雰囲気を演出しているのですが、そういう流れにはならず。
伊丹さんと芹沢さんも変わらず正義でした。
山野さんは結果として捕まりましたけど、足立さんの無念を晴らせたということで本望でしょうし、連城さんが上手に弁護したのでしょう。
いい回でした。
◆◇◆ ◆◇◆
次回は『相棒18』の最終回です。
1年が早いわけです。
10月からの半年がもう過ぎるということですもんね。
秋まで寂しい。
その前に最終回ですね。
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