2019年4月18日放送の『プレバト才能ランキング』のまとめです。
今回は「全国俳句強豪校 vs 名人・特待生!春の他流試合SP」でした。
Michael GaidaによるPixabayからの画像
2017年と2018年と過去2回に、「俳句甲子園」の優勝校とプレバトチームが対戦しましたが、今回はスタジオでの戦いです。
浜ちゃん仕切りの元、どのような展開になるのでしょうか?
スタジオ対戦は、5人での対戦です。
対戦相手は、「俳句甲子園」の全国大会最多出場の愛媛県立松山東高校・文芸俳句部の生徒さん。
またジャッジは俳人3人により勝敗を決めます。
解説は夏井先生です。
◆俳句のお題:「自動ドア」
◆対戦する人
梅沢富美男さん、村上健志さん(フルーツポンチ)、中田喜子さん、千賀健永さん(Kis-My-Ft2)、立川志らくさん
◆俳句の審査員
毎日新聞社の毎日俳句大賞の審査員を務めている3人の先生が審査。
夏井先生も大尊敬されている素晴らしい先生とのこと。
宇多喜代子先生
井上康明先生
高野ムツオ先生
◆ルール
優れている句を10点として、優劣をつける。
◆俳句の先生 夏井いつき先生
▽目次です▽
第1試合 vs村上健志(フルーツポンチ)
◆村上健志(フルーツポンチ)
花の夜や
靴履き終えて
無言の汝
(夜桜は美しい。誰かにとっては場違いな美しさ。たとえば、別れ話をして部屋を出て行く。靴を履き終えてないけど、まだ出て行きはしない。その無言の静けさを描いた句。)
ー夏井先生の添削
花の夜の
無言や靴を
履き終えて
◆中山寛太君
春はひらく
立ち止まること
許されず
(自動ドアを見たときに、ガラスの向こうに春の街・自然・空、春の光が差し込んで、自動ドアが開くと春そのものが自分に開いたように見えた。人が新生活を行く中で、立ち止まることはできず進んでいくしかない。その毎日を歩いて行くように感じた、という句。)
◆第1試合結果
プレバト 27ー28 松山東高校(松山東高校の勝ち)
- 宇多喜代子先生 9:10(松山東高校)
- 井上康明先生 8:10(松山東高校)
- 高野ムツオ先生 10:8(プレバト)
◆夏井先生の評価
かたやドラマを、もう片方は抽象的だが「春」そのものを描こうとしている。どちらも良いところ、損するところを抱えている。
松山東高校の句は、映像が少し少ないのでイメージに終わりがちだが、「春はひらく」がとても瑞々しかった。
村上さんは内容が詰まっていて、ちょっと複雑な感じがする。そこがもったいない。「汝」を消して、「花の夜」の季語を生かすことができる。
◆ここがポイント
入れ込む材料の分量
第2試合 vs千賀健永(Kis-My-Ft2)
◆千賀健永(Kis-My-Ft2)
「運命」の
ドア叩く音
春疾風
(ベートーヴェンの「運命」という曲の有名な最初は「運命がドアを叩く音」だとベートーヴェン本人が言っていた。「春疾風」は春の嵐の緊迫感、緊張感を表している。)
◆山内那南さん
減便の
航路の島々を
躑躅
(瀬戸内海の島々を渡るフェリーは、交通機関が発達して減っている。客室の自動ドアを出て甲板に立って、航路の島々にツツジが咲いていて、向かっている島にもツツジが咲いていて、活気は昔より減ってしまったけど、ツツジは訪れる人を温かく迎えてくれるというのを感じた、という句。)
◆第2試合結果
プレバト 28ー28 松山東高校 (引き分け)
- 宇多喜代子先生 10:9(プレバト)
- 井上康明先生 10:9(プレバト)
- 高野ムツオ先生 8:10(松山東高校)
◆夏井先生の評価
これは面白い対戦。評価の軸になる場所が全然違う。
千賀さんはベートーヴェンの音楽のイメージを取り込んで、一気に「春疾風」を聴かせようとするという発想が面白い、というのがこの句の良いところ。逆に「発想にもたれすぎている」というベートーヴェンにそこまで頼っちゃだめ、という評価の分かれ目がある。
松山東高校は、「島々を」の「を」の問題。ここを「を」にするか「の」にするかでニュアンスが全然変わってくる。
一字をどうするか、発想をどう評価するかで意見が真っ二つに分かれるタイプの対戦だった。
◆ここがポイント
助詞の「を」と「の」
第3試合 vs梅沢富美男
◆梅沢富美男
退院の
雲なき空や
つばくらめ
(退院して自動ドアが開いたら青空だった。いい天気だなと思った時に、ツバメが飛んでくる。それを見て、ああ清々しい春だ、という句。)
◆武田歩君
春空や
アポロの飛ばぬ
半世紀
(自動ドアから出て外を見ると、白く霞んだ空が無限に広がっていて、さらに向こうにある宇宙を詠んだ。技術の進歩が進んで様々な宇宙に対する研究が進められているが、人類が月に降り立ったのは、アポロが月面着陸して以来、半世紀成し遂げられていない。春空を見て、いつか再び人類が月に降り立つのを夢見ている、という句。)
◆第3試合結果
プレバト 28ー28 松山東高校 (引き分け)
- 宇多喜代子先生 10:9(プレバト)
- 井上康明先生 10:9(プレバト)
- 高野ムツオ先生 8:10(松山東高校)
◆夏井先生の評価
(梅沢さんが大暴れしているのを見て)楽しい。
自動ドアの向こうにある空対決。軸はわかりやすい。
梅沢さんの句は、身近な感慨を詠んている。
松山東高校は、壮大な半世紀に渡る人類の感慨を描こうとしている。
ものすごく対照的で、評価が分かれて当然。人生の感慨を丁寧に書いていると読むか、「誰でも読む」と判断するか。一方はこんな大きなことを言って、「春空」が見えるか、でも若々しい意欲があるととるか、評価が分かれる。
俳句の出来としては、私も五分五分だと思います。
私ではない人間が、おっちゃんを怒るのが爽快でした!
第4試合 vs中田喜子
◆中田喜子
囀を
合図のごとく
始発来る
(朝4時半から俳句を作りだした。今年の春はウグイスが来てくれる。窓を開けて囀りを聞きながら、電車の音が遠くから来た。始発がホームに入って、自動ドアが開く。これで句が出来たと思って作った句。)
◆森貞茜さん
春日の
エンドロールや
伊予灘線
(愛媛県の有名な下灘駅という海が綺麗に見える駅がある。その駅を通っているのが伊予灘線。電車の窓を眺めていると、海・山・電柱と右から左に通り過ぎていく。それが暖かい春の日のエンドロールのように思ったという句。)
◆第4試合結果
プレバト 28ー28 松山東高校 (引き分け)
- 宇多喜代子先生 10:9(プレバト)
- 井上康明先生 8:10(松山東高校)
- 高野ムツオ先生 10:9(プレバト)
◆夏井先生の評価
比喩対決。
中田さんの「合図のごとく」のような「ごとく」「ような」は直喩と言い、直接比喩している。
松山東高校の「エンドロール」は「ごとく」「ような」を使わない比喩で、比喩だとわからせるのを暗喩という。
特徴がしっかり見えた対決。
暗喩は、ちょっと分かりにくいけど、その分奥行きや広がりが出る。直喩は、意味はストレートに分かるけど、食い足りないと感じる人もいる。
意欲(松山東高校)対まとまり(中田)。
今回はまとまり(中田)に少し点が入ったかもしれない、という状況。
第5試合 vs立川志らく
◆立川志らく
自動ドア
開けて子を追う
シャボン玉
(自動ドアそのものとした。お母さんが呼んで、子どもがシャボン玉の途中で帰ったら、自動ドアが開いて後を追うようだった。追ったのは誰かと思わせて、シャボン玉で裏切る。素直に詠んだ句。)
◆小川一磨君
鉄塊の
森の底飛ぶ
つばくらめ
(松山生まれ・松山育ちだが、修学旅行で昨年東京に来た。自動ドアを出て外に出て見上げると、高いビルが僕たちを見下ろしている感じがして。そんな鉄塊の森の一番低いところをツバメが飛んでいった、という句。)
ー夏井先生の添削
つばくらめ
飛ぶ鉄塊の
森の底
◆第5試合結果
プレバト 30ー27 松山東高校 (プレバトの勝ち)
- 宇多喜代子先生 10:9(プレバト)
- 井上康明先生 10:9(プレバト)
- 高野ムツオ先生 9:10(プレバト)
◆夏井先生の評価
擬人化対比喩。
志らくさんの句は、擬人化が可愛くもあり、恐ろしい感じもしてくる。読みの奥行きがある。
松山東高校はすごくもったいない。比喩から入るから「底」が中途半端な効果になっている。「つばくらめ」からいったら鮮やかになる。そうすると、つばくらめの高い視線から底に自分がいる。ツバメの距離感が出てきて、「底」が生きてくる。
これをやっていたら、完全にあんたの勝ちだったよ。
◆結果発表◆
(プレバト)141-139(松山東高校)
プレバトチームの勝利!
◆◇◆ ◆◇◆
プレバトチームはもちろんですが、松山東高校の生徒さんが凄かった。
高校生でこんなに素晴らしい俳句を詠むんですよね。さらに年を重ねていくわけですから、才能はまだまだ溢れているということ。
私的には、第4試合の森貞さんがお笑いが好きと言っていたので、好感度高かったです!
わざわざダウンタウンの漫才「誘拐」を動画で観てきた、というあたりもよかったです。ちゃんと敬意を表しているわけですから。
浜ちゃんが「キミ、古いこと言うなぁ」と照れていて、最高でした。
浜ちゃんにどつかれたかったろうなぁ…(笑)。運がよくなる伝説再び、ですけど、今やいろいろうるさいですからね。素人さんには無理でしょう。
頑張ってオチが作れるようになって、芸人さんを目指してください!
小川くんも浜ちゃんにイジってもらえるは、句はいいはで大活躍でした。
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