『相棒21』第15話「薔薇と髭と菫たち」の感想です。
今回社会問題にメスを入れつつ、非常に良質なストーリーとラストだったと思います。
監督は内片輝さん、脚本は岩下悠子さんでした。
前々回の第13話に1週おいての岩下さん脚本でした。
さすがです!
▽目次です▽
救われない貧困の話からの感動のラスト
今回もぐいぐい引き込まれました。
ヒロコママ登場からの右京さんの死体発見。
そこから殺人事件かと思いきや、そうではなかったのですが、話の流れは今問題となっている貧困にスポットをあてたようなお話でした。
負の連鎖から断ち切れず、もがき苦しむ貧しい人々。
そこに一縷の望みがあったラストはもう涙が止まりませんでした。
フードバンクという支援の大切さもありつつ、今回のお話の軸は炊き出しに半グレが顔出していること。
そして、もう1つの軸は作家の入れ違いでした。
男女の仕事に対する固定概念から打開策として、鬼塚夫妻が結びつくあたり運命の2人だったのでしょう。
少女小説家を目指した夫
ルポライターを目指した妻
それぞれが入れ替わることで作家業を続けることができたという点に強い結びつきがありました。
しかし、性別で職業を決めつけるというのはまさに差別ですよね。
入れ替わることで天職を見いだせた2人は運が良かったのでしょう。
才能を埋もれさせずにすみました。
そこに売れない頃の少女小説家だった鬼塚さんは、初めての熱心なファンであるすみれさんにどれだけ支えられたことでしょう。
それは美智子さんもわかっていたからこそのラストでしょう。
希望が見えるラストで涙が止まりませんでした。
戸籍を売ることまで考えるほど困窮してしまっていたすみれさん。
学生時代にファンだった想いがこうやって1つの縁で結ばれることが嬉しかったです。
珍しく殺人が起きず無駄に血を流さなかった回ですが、とてもドラマチックでした。
あと何気に今話題の強盗団を思わせるような負の連鎖の部分も感じて、ちょっとゾクっともしましたね。
こうやって一度踏み外すと、そういう輩は離れていかないんだなという怖さも感じました。
この脚本ができている時点では、ルフィ事件は発覚していないんですけど、タイミングがすごく合っていたようにも感じました。
そういう意味でもさすが岩下さんですね。
ヒロコママが素敵だった
今回何よりも亀山さんに再会できたヒロコママがよかったですね。
オープニングのドタバタからのシリアスな展開ではありましたが、ヒロコママが出てくるとほっこり。
しっかりと鬼塚夫妻とも結びつきがあり、事件解決のヒントにもなっていましたよね。
筆跡から男女逆転の作家であることを推理した右京さんはさすがでした。
ヒロコママのお店ですみれさんが働ければ本当にいいのな、と途中思いましたけど、ラストに救いがありましたから本当によかったです。
ヒロコママも喜んでいることでしょう。
亀山さんが花束もらってうれしそうでしたね。
また登場する回が楽しみです。
しかしヒロコママ、カワイイw
今回の相棒
テーマは生活困窮者なのかなと思いましたが、その社会問題を取り入れて、ルポライターが取材をして接点があったという点が上手でしたね。
フードバンクってスーパーで見かけますけどこういう方々への支援になっているんですね。
ドラマではだんだんと支援が減っていると指摘してました。
物価高にもなっていますし、ますます貧困は問題になっていくのでしょう。
すみれさんはきっと美智子さんの元で幸せになれるでしょうけど、すみれさんも生活困窮者を1人でも多く救ってあげられるようになるといいですよね。
ドラマのようにはいかないかもしれませんが、少しは希望を持ちたいと願いたいです。
内村刑事部長と中園参事官がヒロコママの常連さんのお店にいたのは面白かったです。
そして、捜一トリオのモノマネも面白かった。
冷凍イカも笑えました。
小ネタもいいバランスでありましたよね。
また岩下さんの登場をお待ちしております。
▽他の相棒もどうぞ▽
①『相棒21』第13話「椿二輪」亀山さんの素直な勘と右京さんの絶妙な推理 さすが岩下悠子脚本な回 - 今日も暇です。
②『相棒21』第5話「眠る爆弾」物語の鍵は助成金 さすがの右京さんの推理と人命を守った亀山さん - 今日も暇です。